生前の対策 -争族対策と遺言書作成の必要度-
相続対策として、生前の対策は非常にポイントとなります。
突然の相続が発生しても慌てないよう、事前にしっかりと準備を進めておきましょう。
ここでは、争族対策について考えます。
争族対策
相続対策とは、遺産分割の際に相続人同士相続財産をめぐって争うことのないよう、あらかじめ対策を講じることをいいます。
遺産の分割は、相続人の間での話合い(遺産分割協議といいます)で決定するのが理想的といえますが、相続人全員が納得するようにまとめることはなかなか難しいものです。
また事業の承継問題など、遺産が細分化されることが望ましくないということもあります。
そこで、相続争いや事業の承継問題などを未然に防ぐためには、遺産の分割方法などを相続人に伝えておくことが必要です。
ただ、遺産の分割方法を口頭で伝えるだけでは、法的な効力がありません。
「遺言書」として残しておくのが確実です。
特に、家族関係が複雑である場合や相続人が配偶者と兄弟である場合など、もめる要素があると考えられるときには、遺言書の作成は大変有効な方法であるといえます。
遺言のすすめ
相続トラブルを避けるために、遺言書の作成をおすすめすると、多くのお客様は「縁起でもない」、「財産なんてあまり持っていないので関係ない」、「兄弟同士の仲は悪くないからもめる心配がない」とおっしゃいますが、本当にそうでしょうか。
例えば、父親名義の自宅に同居し長年介護してきた長女も、何十年も家に寄り付かなった次女も相続分は均等です。
父親の死亡後に次女が長女に対し、『父親名義の自宅を売却し、換金してでも分配してほしい』と請求することも認められているのです。
(相続分に従った正当な分割です)このような場合において、もしも父親が一筆「長女には自宅を、次女には預貯金を相続させる」と遺言を残しておけば、この事態は回避できるはずです。
また最近では、莫大な財産がありながら何の対策もしなかったために、多額の相続税を納めることとなってしまった事例もたくさんお聞きします。
遺言書の必要度
「遺言書」は、一般の方にはピンとこないものかもしれません。
しかし、「遺言書を書いておいたほうがよかった」というケースが多く存在します。
一度、ご自身の家庭環境に照らし合わせて考えてみましょう。
ひとつでも当てはまるものがありましたら、要注意です。
遺言書の作成を検討してみましょう。
- 子供がいない
- 相続人が一人もいない
- 相続人の数が多い
- 内縁の妻(または夫)がいる
- 自分が死んだ後の妻(または夫)の生活が心配だ
- 障害を持つ子供に多くの財産を与えたい
- 家業を継ぐ子供がいる
- 遺産のほとんどが不動産だ
- 自分でもどのくらい遺産があるかよくわからない
- 再婚など、家族構成に複雑な事情がある
- 隠し子がいる
- 資産を社会や福祉のために役立てたい
- 相続に自分の意思を反映したい
- 特定の人だけに財産をゆずりたい
- 特定相続人以外に相続させたい
- 財産をあらかじめ同居してる子の名義にしておきたい
生前の対策 -遺言書の種類とメリット-
遺言書の種類や作り方は、法律で厳格に定められています。
法律に則って作成されていないものや口頭で言ったものは無効で、法的効力を生じません。
しかし、かえって紛争のもととなってしまうこともありますので、よく注意して作成する必要があります。
ここでは、一般的によく使われる「公正証書遺言」と「自筆証書遺言」について見ていきます。
公正証書遺言
公証人役場で、2名の承認の前で遺言内容を公証人に申し述べ、公証人が遺言書を作成します。
遺言内容を確実に相続人に伝えるためには、公正証書遺言をお勧めいたします。
メリットとして、
- ①公文書として、強力な効力を持つこと、
- ②家庭裁判所での検認手続が不要であること、
- ③死後すぐに遺言の内容を実行できること、
- ④原本は公証役場に保管されるため、紛失や変造の心配がないこと、
が挙げられます。
一方、デメリットは、
- ①証人が必要であること、
- ②費用がかかること
が挙げられます。
特に、①においては、成年者であることが必要であり、推定相続人やその配偶者、並びに直系血族等は証人になれませんので、注意が必要です。
自筆証書遺言
自筆で遺言書を作成し、日付、氏名を記入のうえ押印します。
メリットとして、
- ①手軽でいつでもどこでも書けること、
- ②費用がかからないこと、
- ③誰にも知られずに作成できること、
が挙げられます。
一方、デメリットは、
- ①不明確な内容になりがちであること、
- ②形式の不備で無効になりやすいこと、
- ③紛失や偽造・変造、隠匿のおそれがあること、
- ④家庭裁判所での検認手続が必要であること、
が挙げられます。
遺言書でできること
1.相続財産の分け方を指定できる
遺言書をあらかじめ作成しておくことにより、相続財産の分け方を指定することができます。
ただし後々のトラブルを防ぐためには、遺留分を侵害しない範囲での指定が賢明といえます。
2.事業承継に活用できる
遺言を活用することによって、後継者を自由に決めることが可能です。
生前贈与とは異なり、いつでも撤回することができますから、万が一のために経営者の方は作成しておくことをおすすめします。
3.特定の相続人に「相続させたい」「相続させたくない」を指定できる
遺言を書いておくことにより、法定相続人以外に相続させることや、特定の相続人にのみ相続させることが可能となります。
4.遺言執行者を指定できる
遺言の内容を実際に執行してもらう人を指定することができます。
5.認知と未成年後見人の指定ができる
婚外の子を認知することで、認知された子が相続人となることができます。
また、未成年後見人の指定として、相続人の中に未成年者がいて親権者がいない場合には遺言によって後見人を指定することができます。
生前の対策 -遺言書の保管と執行-
遺言書の保管方法
せっかく作成した遺言書が発見してもらえないと、遺言は何の法的効力も持ちません。
遺言書は遺言者が亡くなった後に相続人等がすぐわかるような場所で、かつ隠されたり、勝手に書き換えられたりする心配の無い場所に保管しておく必要があります。
ここでは、公正証書遺言、自筆証書遺言それぞれの保管方法を見ていきます。
公正証書遺言の保管方法
公正証書遺言は、遺言書の原本が公証役場に保管されています。
したがって、相続人等には、遺言書を作成してある公証役場の場所を伝えておけば十分です。
なお、遺言書の存在が明らかになった際、相続人等によって閲覧を請求されたとしても、公証人がこれに応じることはありません。
自筆証書遺言の保管方法
自筆証書遺言は、親族等に預けることもあります。
しかし法定相続人など遺産に利害関係のある方に預ける場合には、隠匿・改ざんの恐れがあり、逆に紛争のもととなりかねないため、なるべく公正な第三者や司法書士などの専門家に、保管を任せることをおすすめします。
遺言の執行と遺言執行者
遺言の執行
遺言書の内容は、遺言書を書いた本人(遺言者)が亡くなったあと、自動的に実現するわけではありません。
遺言書の内容に従って実際に財産の配分を行う必要があります。
これを「遺言の執行」といいます。
これを取り仕切るのが「遺言執行者」です。
遺言執行者
遺言執行者を指定しておくと、煩雑な相続手続がスムーズに進められるというメリットがあります。
通常であれば、預貯金の名義変更や相続登記等の手続きなど相続人全員の署名・押印が必要になり、かなりの時間と手間がかかりますが、遺言執行者はこれを単独で行うことが出来るので、大幅な時間短縮となります。
ただし、遺言内容を実現する手続は、実はとても複雑で面倒です。
戸籍の収集や相続財産の名義変更など、いくつもの手続が必要であり、これを特定の相続人が行うことは大変大きな負担となります。
遺言執行者を専門家に指定すれば、このような面倒な手続の一切を代行して行うので、時間と労力がかからずに済みます。
また、専門知識を持った専門家が各手続を行いますので、スムーズに遺言の内容を実現することが出来ます。
専門家だからできること
知識や経験のない方がご自身で遺言書を作成することには様々なリスクが伴いますので、細心の注意が必要です。
遺言書は遺産の行方を左右する非常に重要なものですので、専門家のサポートのもとで作成されることをおすすめします。
法的に有効な遺言書の作成をお手伝いいたします
遺言書は法律で厳格な方式が定められています。
この方式に沿っていないために、無効になってしまう遺言書も多く存在します。
神戸すえひろ税理士法人 相続あんしん相談室が信頼する司法書士により、専門家として法的に有効な遺言者の作成をサポートいたします。
「争族」を防ぐ遺言書の作成をお手伝いいたします
遺言書を作成される方は、それぞれ様々な想いをお持ちでいらっしゃると思います。
例えば、「特定の相続人にすべての財産を相続させたい」「子供以上によく世話をしてくれた甥っ子に財産の半分を相続させたい」などのご相談をお受けすることもございますが、財産の分け方や相続人同士の関係性によっては、トラブルの原因にもなりかねません。
神戸すえひろ税理士法人 相続あんしん相談室では、トラブルになりづらい遺産の分け方や遺留分を考慮した遺産の分割方法をご提案させていただきます。
相続対策全般についてもご相談ください
遺言書の作成は相続対策全般と平行して進めていく必要があります。
代表的なものが相続税です。
神戸すえひろ税理士法人 相続あんしん相談室では、遺言書の作成とあわせて相続対策全般についてもご相談をお受けしております。
神戸すえひろ税理士法人
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